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カレン・ライトマン氏、カーネギーメロン大学、スマートシティ研究所、メトロ21常任理事

2021年12月15日

「スマートシティ」という用語にはある種のオーラがあります。人口知能(AI)、機械学習、ロボット工学、デジタルカメラ、センサーネットワークなどのテクノロジーを使用し、都市部が抱える問題解決にあたることが約束されているのです。スマートシティで解決できる可能性は一見無限のようです。 他にはない強みを市場で発揮する機会、市場機会は2020年には7,416億ドルと推定され、無限大ですが、解決すべき多くの課題があります。スマートシティの定義は簡単に説明すると、都市運営を通じて収集したデータを使用し、都市運営の効率とその効果を向上させることです。しかし、都市が真にスマートであるためには、データやテクノロジーだけではなく不平等の根本原因に対処し、住民すべての生活の質の向上に焦点を当てる必要があります。これは大変な仕事なのです。

スマートシティの現在の活動は主に交通と可動性あるいは安全とセキュリティに関するアプリケーションに焦点を当てています。スマートシティのテクノロジーは時には玄関先に荷物を届ける気の利いた宅配ロボットに反映されています。しかし、多くの場合はカーネギーメロン大学からスピンアウトした企業である、ラピッドフロウ社(Rapid Flow)が取り扱っている人口知能による交通管制を行うスマート信号機、Surtracに類似しています。Surtracはセンサーとカメラの自律ネットワークをリアルタイムで誘導する機械学習演算法で、交通管理を支援し、移動時間を25%、アイドリング時間を40%短縮し、温室効果ガス排出量の20%の削減を可能にします。COVID-19パンデミックの間、メトロ21は多くの非営利団体や地方自治体のパートナーと協力し、ラピッドフロウ社(Rapid Flow)の創設者、ステファン・スミス教授(Stephen Smith)と彼のチームが同様のAI演算法(AIアルゴリズム)を開発し、ペンヒルズ(Penn Hills)、マッキースポート(McKeesport)、そしてマッキーズロックス(McKees Rocks)の困窮家庭に10万食を超える食事を適切に配達しました。これは「スマートシティ」プロジェクトの従来の定義に当てはまらないかもしれませんが、スマートシティ研究所、メトロ21(Metro21)の活動の中核である、現実世界の問題を公平に解決するためのテクノロジー展開の方法を示す完璧な例です。

スマートテクノロジーの安全性とセキュリティのアプリケーションに関しては暗黙的にせよ、明示的にせよ不朽の偏見と、制度的人種差別を助長するとして批判を浴びてきました。 顔認識ソフトウエアは有色人種の地域社会での不信感を悪化させると非難されています。 ミネアポリス、サンフランシスコ、ニューオーリンズ、ボストンなどのいくつかの都市では、偏見やプライバシーへの懸念から、政府による顔認識ソフトウエアの使用を禁止しています。この秋、メトロ21はカーネギーメロン大学(CMU)の大学院であるハインツ・カレッジ(Heinz College)とTraffic21研究所と共同で、国内および地域の専門家や支援者を招き3部構成のセミナーを開催し、正義とスマートシティ技術の問題に光を当てました。私達が学んだことは、都市は複雑であるということです。そしてスマートシティ技術の導入に関して「万能の解決方」はありません。またコミュニティの信頼構築のためには、透明性が高く、反復的かつ協力的な方法で行われることが重要です。

メトロ21(Metro21)は70以上の自治体や株式出資者(エクイティ・パートナー)と協力し、ピッツバーグ地域に60以上の試験的事業(パイロット・プロジェクト)を展開し、テクノロジーの導入に関し、意図した通りの結果、あるいは意図しない結果の意味するところを学びます。時には企業の一部を切り離し独立させるスピンアウトの支援をし、導入コストが利益をはるかに上回るため、技術だけでは現実の問題を解決できない事を学びます。

したがって、近年署名された1兆ドルのインフラ投資および雇用法は、複雑、厄介で魅力のない現実世界の問題解決に焦点を当てることにより、スマートシティ技術の公平で包括的、かつ持続可能な展開に極めて重要です。 インフラ法案の一部である600億ドルのブロードバンド投資は、これまでそのような機会を想像できなかった地域でのスマートシティ技術の公平な展開を実現させる可能性を秘めています。ブロードバンドは人々が経済的可動性を得るための一形態であり、水や電気へのアクセスと同様に、人々の基本的権利になりました。 民間部門と公共部門からの投資が約束されれば、地域住民は信頼性が高く、手頃価格で、適切なブロードバンドを利用できるようになります。都市部、郊外、農村部を問わず、住民のために多くの経済発展と革新をもたらすブロードバンド投資を提唱し勝ち取ることは非常に重要なことです。 地域全体のブロードバンドの不公平な利用に対処することにより、不平等の基本原因に対処し、地域生活の質向上への第一歩となります。

私達は地域がつながり、公平で持続可能なものになることで、スマートシティの「スマート」を再定義することができるのです。