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マイケル・マチョスキー著 2021年11月17日

マンデーナイトフットボール(Monday Night Football)の開催時には試合終了まで巨大溶鉱炉と溶鋼の大桶が展示されることがありますが、ピッツバーグではもう少し小さいものを製造することで知名度を上げてきました。 そう、もっとずっと小さいのです。

リチャード・キング・メロン財団(Richard King Mellon Foundation)は、小さいものを製造するための巨大な工場、バイオフォージ(BioForge)を設立するためにピッツバーグ大学に1億ドルを寄付しました。

「この施設は病気治療薬製造に特化した製造施設ですが、これらの治療薬は化学物質ではないため、錠剤タイプではないのです。」と、ピッツバーグ大学学長のパトリック・ギャラガー氏(Patrick Gallagher)は説明しています。「これらの治療薬は生物学的な物質であり、細胞のようなもの、またはエデン物質を送達するウィルスベクター、モノクローナル抗体などです。」

最先端のバイオ製造プロジェクトを遂行できる20万から25万平方フィートの広大な施設をヘーゼルウッド・グリーンに建設する予定です。 この一億ドルの寄付はR.K.メロン財団の単一プロジェクトとしては最大の寄付になります。

また最近のR.K.メロン財団からのカーネギーメロン大学への助成金はヘーゼルウッド・グリーン(HaselwoodGreen)に建設される4,500万ドルのロボティックスイノベーションセンター(Robotics Innovation Center)を含む複数のプロジェクトに充当し1億5000万ドルになります。この製鉄所敷地再開発は数十年前にアルモノ社(Almono)とのパートナシップにより企画された野心的な計画に類似しています。

「今後10年の間12億ドルをこの地域に投資する「10年計画」を発表するにあたり私達は非常に大胆な構想に投資したいと考えておりました」と、R.K.メロン財団ディレクターのサム・レイマン氏(Sam Reiman) は述べ、「当財団はピッツバーグがライフサイエンスで全米をリードするよう歴史的な賭けをしています。Covid-19が私たちに教えてくれたものがあるとしたら、未知の発見や医療の進歩形成はここ地元で行う必要があるということです。」

この巨大施設をヘーゼルウッド・グリーンのどこに設置するか、従業員は何人雇用するか、そして外観はどのようになるのかなどは未だ未決定ですが、今から5年後には本格的に稼働する予定です。

パンデミックが続いている間人々は在宅業務を続けているためオフィススペースの需要は落ち込みました。しかし、ライフサイエンス分野は例外です。 バイオテクノロジーの研究開発に必要な、クリーンルーム、実験室、最先端設備などの専用スペースは見つけにくく、すぐに埋まってしまう傾向にあります。

ピッツバーグ大学の研究チームの多くがバイオフォージ施設に移転し、遺伝子治療、人工細胞治療、マイクロニードルなどの新しい治療法と送達技術、マイクロ/ナノ抗体の開発に取り組んでいます。 またこの施設は生産サプライチェーンを地元に確立したいと考えているライフサイエンス分野の新興企業や既存企業のハブにもなるでしょう。

「ここは典型的な受託型製造施設として使用されます」とギャラガー氏は述べています。「治療薬のアイデアを持っている企業は、基本的に製造時間を借りることになります。これらの施設は患者や臨床に使用できるような高品質の製造に特化しています。

バイオフォージでは、高度な技術を要する仕事を数多く創出することを期待しており、当初の予想では「数百」とされていました。この施設は、すでに急成長している地元のライフサイエンス分野に相乗効果をもたらすと期待されています。

ピッツバーグ大学の資金拠出ならびに産業界パートナーからの資金提供を基に、バイオフォージはピッツバーグをライフサイエンス分野の投資家やイノベーターの世界拠点にすることを目指しています。           

「専門的知識が必要ですが、ピッツバーグ大学にはそのための適切なツールがあります。ピッツバーグ大学は国立衛生研究所(NIH)からの資金調達額においては全米の大学の中で上位5位から6位に入る有数の大学です。私達の提携先であるピッツバーグ大学医療センター(UPMC)は全米で最大級の一つに数えられる学術医療センターシステムです」と、ギャラガー氏は述べています。

メッセンジャーRNAワクチンやモノクローナル抗体療法など、今回のパンデミックの間、特定の新たな生物学的進歩が社会的知名度を高めました。また、癌治療の免疫療法にも革命が起きています。新治療薬を大規模に製造する場所のニーズは非常に大きく拡大しています。

「患者から組織を採取し、実験室で修正し、臨床品質レベルでの製造を試み、この場所で患者に渡したいのです。ここは市場規模をフル活用する研究と臨床の専門知識と保険制度を備えた希少な場所の一つです」とギャラガー氏は述べています。

ヘーゼルウッド地区は、川沿いにあったLTV製鉄所の閉鎖による影響を受け、長期にわたり苦しんできました。ヘーゼルウッド・グリーンは隣接する地域に結合し、何十年もの間失われてきた機会を提供できるように設計されています。もちろんヘーゼルウッドと川をつなぐ公共公園のスペースも充実しています。

「これまでに行われたブラウンフィールド(利用されなくなった工場跡地)開発とは一線を画す開発にしたいと考えています」と、レイマン氏(Reiman)は述べています。

何かしらの対策を講じる必要があるという切迫感をもって、我々が他の敷地で経験した過去の失敗を繰り返さないように慎重に取り組みました。 現在と過去との違いは何が効率的で何が非効率的かを見極め、それが実際にその地域の人々のためになるかどうか確認できる利点があることです

ポリオのソークワクチン開発に始まり、ピッツバーグ大学は長年にわたり最先端医療のリード役を果たしてきました。大学の研究者、教職員、そして学生は大学で開発した技術だけで過去5年間に87の新興企業を立ち上げ、503件の米国特許を取得し、1,768件の発明を開示し、4,670万ドルの収益を技術の移転活動から得ています。

「このプロジェクトはペンシルベニア州西部の人々に大規模な繁栄をもたらし、現代における最重要経済分野の一つとしてピッツバーグが国内および世界のリーダーとしての地位を確立するための大きなチャンスであると確信しています」と、リチャード・キング・メロン財団(R.K. Mellon Foundation)理事会役員のリチャード・A・メロン氏(Richard A. Mellon)は述べています。

この地域刷新の多くは西ペンシルベニア最大の財団であるR.K.メロン財団の支援により現在もおこなわれています。

この財団はエネルギーセンター、現在のUPMCヒルマン癌センター(UPMC Hillman Cancer Center)であるピッツバーグ大学癌研究所, そしてカーネギーメロン大学との共同プログラムである神経基盤認知センター(Center for the Neural Basis of Cognition)の拡大事業や立ち上げを支援してきました。