米国ペンシルベニア州政府日本事務所  ペンシルバニア州の事業環境・優遇助成制度のご紹介、日本企業のペンシルベニア州への直接投資に関する各種サポート・ご相談

ペンシルベニア大学病院(Penn Medicine)は16億ドルを投じた17階建て、のパビリオンで10月30日から患者の治療を開始する予定です。この建物は「医療の未来」と評されています。

ペンシルべニア大学病院の向かいにあるぺルレマン先端医療センター(Perelman Center for Advanced Medicine)に隣接するウエスト・フィラデルフィアにある150万平方フィートの建物は504の個室と47の手術室を備えています。ペンシルベニア大学の歴史上最大のプロジェクトであるこのパビリオンは、 ペンシルベニア大学病院の腫瘍科、心臓血管治療科、そして神経科学科の本拠地になります。ビジネスジャーナル紙から質問を受け、ペンシルベニア大学ヘルスシステムの最高経営責任(CEO)のケビン・マホーニー氏(Kevin Mahoney)はパビリオンの独自性について、以下の4テーマについて回答しました。

将来に向けた患者ケア

「このパビリオンはイノベーションの形成を念頭に、将来に備えた建物です。つまり、すべての技術に適応でき、アップグレードも可能になります」と、マホーニー氏は述べています。Covid-19パンデミックの最中に開業したこの建物は、抗菌性の建築材料、広い陰圧室、スタッフが治療以外で病室に出入りする必要性を最小限にするなど、特定の感染症対策を含み、患者に対する最新の安全機能を備えています。また、遠隔医療機能も備え、遠隔モニタリングや、受診も可能になります。

患者とその家族の認識変化

「この建物の設計は持続的、効率的で、高揚感があり、周囲の環境に配慮しており、人々のニーズを満たしています。こうした取組みにより、患者を最優先にしています。」とマホーニー氏は述べています。一例として2階建ての救急科を挙げています。この救急科は待ち時間を短縮し、診療の迅速化をはかり、予定外で不安を抱えた来院中の患者体験を緩和するように設計されています。

次の例は病室に関する事です。各病室には75インチのスクリーンとIRISと呼んでいるスマートボードが設置されており、患者が自分のケアやケアチーム、大切な人との関わりを新しい方法で行うのに役立っています。IRISのテクノロジーは好みの娯楽や、天気予報にアクセスでき、患者は情報を保存したり、表示したり、家族や医療従事者に送信することができます。

このパビリオンはまた、患者の休息や睡眠を改善し、病室の混乱を最小限に抑えるように設計されています。各フロアには、スタッフの活動のための「舞台裏(オフステージ)」エリアが設けられ、病室内に双方向の「患者サーバー」があり、病室の外から用品や薬の供給ができるようになっています。「これはディズニーのコンセプトに基づいて作られました」とマホーニー氏は述べ、ディズニーのテーマパーク設計に言及し、舞台裏(オフステージ)で日常業務を行うスタッフと訪問者を分離しました。

パビリオン内では、患者や訪問者は、医療従事者やスタッフとは別の廊下やエレベーターを使用します。患者を訪問する際に引き出し式のベッドを利用するなど、患者の家族にも各部屋にいる間の「快適空間」が用意されています。またパビリオン内には家族介護者センターもあり、介護人が休息できるスペースを用意しています。12階には癌などの腫瘍患者専門の介護者のための独立した介護スペースがあります。

研究と治療の融合

「このパビリオンはペンシルベニア大学病院にとってワールドクラスの専門知識の中核となります。細胞治療から遺伝子治療、そして特殊な心臓手術にいたるまで、あらゆる種類の疾患を治療する大胆なアプローチを行うのです。」と、マホーニー氏は述べています。

パビリオンは高度なてんかんモニタリング部や、神経生理学研究室が設置され、神経科学研究と治療をより密接に結びつけ、高度に個別化されたリアルタイムの治療と研究を進める機会を提供しています。また、心臓血管チームが最新の心臓治療技術を実践するためのシミュレーションルームなど、医師のための専門トレーニング施設も併設されています。パビリオン内の患者には、ペンシルベニア大学病院で研究している癌、自己免疫疾患、糖尿病などの治療にあたるために、専用の製造施設で専用に作られた細胞治療製品を使用する場合もあります。

未来の構想から患者ケアの現場に至るまでのスタッフコラボレーション

マホーニー氏によると、プロジェクト設計の具体化が進み、医師や看護師、食事療法スタッフ、そして環境サービス担当者など数百人のスタッフが30,000平方フィートの患者フロアと手術室の実物大模型を視察し、シミュレーションに参加しました。

「食事提供などの日常業務から蘇生術などの緊迫した状況に至るまで患者に最高のケアを提供できる最終デザインを目指すにあたり、スタッフから意見をもらいました」と、述べています。このパビリオンの設計とプランニングはペンシルベニア大学病院のスタッフで構成された総合プロジェクト配信チームが指揮をとりました。このチームにはペンシルベニア大学の学生団体であるPennFIRST、 医療設計会社のHDR社、建築事務所のFoster+Partners、工学技術会社BR+A社、そして建設マネージャーのドリスコール氏(L.F. Driscoll)とベイティ氏(Balfour Beatty)が参加しています。

この数か月間で、1万人のペンシルベニア大学病院のスタッフがパビリオンでのトレーニングに参加しました。このトレーニングでは、新施設での本番前最終リハーサルが行われパビリオンのオープニングに向けて、場所の確認と仕事の進め方を確実に学ぶことができます。

パビリオンを訪れる人とスタッフは、病院のカフェテリアに加え、全国的に有名なシェフ、トム・コリッキオ氏 (Tom Colicchio) の「ルート&スプリング(Root & Sprig)」やフィラデルフィアコーヒーの第一人者であるセイン・ライト氏(Thane Wright)の「バウアーカフェ(Bower Café)」等を利用できます。